インドネシアの黒魔術とホラーコンテンツ

Twitterで「#僕らの周りの黒魔術」というハッシュタグがインドネシア在住日本人の間で10月に話題になった。

きっかけは、在インドネシア日本大使館の公式サイトだ。現地での犯罪被害の事例に、黒魔術を使って相手に催眠をかけるということが紹介されていたのだ。

今も信じられている黒魔術

インドネシアはイスラム教、キリスト教といった一神教を信仰する人が過半数を占める国である。各個人の宗教登録が義務付けられているが、2010年の統計によるとイスラム、キリスト諸派、ヒンズー、仏教、儒教を除いた「その他の宗教」は0.38%だ。

一方で、魔術師や呪術師を職業にしている人が存在する。日本でもかつてはイタコやユタといった降霊術師がいて、彼らは地域住人の相談役として頼りにされていた。心理学が確立していなかった時代、魔術師は人々の悩み事に応じる重要な役割を担っていたのだ。

「#僕らの周りの黒魔術」のハッシュタグがつけられたツイートは、インドネシアの具体的な魔術の方法が記載されているものも見受けられる。中には魔術師を呼ぶための費用を削減したがために、大事なイベントの日に雨が降ってしまったという投稿も。

ホラーコンテンツ王国インドネシア

魔術信仰は、現代のインドネシアのエンターテインメント業界に大きな影響を与えている。それはホラーコンテンツへの影響だ。

日本ではVHSの時代から、インドネシアホラーにはカルト的な人気があった。80年代には『Pengabdi Setan』という作品が日本にも輸入され、これには『夜霧のジョギジョギモンスター』という邦題がつけられていた。そのPengabdi Setanは、2017年に本国でリメイクされている。

インターネットが普及した今、オンデマンドサービスを利用すればインドネシアホラーを視聴することができる。

ここ最近注目されているのは、ロッキー・ソラヤ監督の作品だ。

ソラヤ監督作品は、アクションの要素が強いことで知られている。ワイヤーやCGを多用しつつ、インドネシア独特の心霊世界を盛り込んでいる点も大きな特徴だ。ソラヤ監督の今までの作品は、Netflixで配信されている。

また、2018年にクラウドファンディングKickstarterで資金調達キャンペーンを行っていたホラーゲーム『Pamali』は、この年までにSteamでの配信を実現させた。レビューは「非常に好評」とある。

インドネシア各地の言い伝えや魔術信仰を盛り込んだ内容で、英語と中国語の言語ローカライズにも対応している。

主人公が売却予定の家の掃除をしながら、そこに住んでいた家族にまつわる謎を解いていくというシナリオだ。

宗教上の戒律に厳格な中東の国では、ホラーコンテンツそのものが規制対象になってしまうこともある。しかしインドネシアではそうしたことは一切なく、むしろ新興企業のホラーゲームが世界中でプレイされている。

【参考・動画】

Pengabdi Setan (2017) Official Trailer

Steam

Pamali: Indonesian Folklore Horror - Official Game Trailer #1-YouTube

MATA BATIN - Official Trailer (2017) Jessica Mila, Denny Sumargo, Citra Prima-YouTube