インドネシアで正確な災害情報を伝えてきた国家防災庁ストポ報道官死去

インドネシアは地震の多い国としても知られている。

スマホは非常に便利な連絡手段であるが、時として災害に絡んだデマを拡散してしまうこともあり、被災地の人々を動揺させるだけの影響力を持っている。

インドネシア国家防災庁のストポ・プルウォ・ヌグロホ主席報道官は、そのようなデマ情報を検証して自身のTwitterで注意喚起を出すことで知られていた。そのストポ報道官が7月7日、入院先の中国の病院で息を引き取った。享年49歳。

「災害デマ動画」の検証を実行

ストポ報道官のTwitterアカウントでは、SNSで拡散される写真や動画をひとつひとつ検証し、その真贋を公表していた。

たとえば、以下の動画は去年10月に噴火したスラウェシ島ソプタン山の様子という触れ込みで拡散された。

地表を焼き尽くす溶岩。だがこれは、ソプタン山とはまったく関係のない動画であることをストポ報道官は解説している。

また、同じソプタン山にまつわる以下の動画もある。

こちらは南アメリカの火山の動画で、インドネシア国内のものですらない。だが、こうした動画が「ソプタン山の現在の様子」として出回っていたのだ。

こうしたデマ検証と同時に、被災地から届けられる本物の災害動画の拡散も行った。刻一刻と変化する被災地の状況をTwitterで解説するストポ報道官の活動は、海外メディアからも称賛された。NHKの報道番組『国際報道2019』も先月、ストポ報道官の特集を放映した。

肺癌との闘い

一方でストポ報道官は、ステージ4の肺癌に蝕まれていた。

癌が背骨に転移し、コルセットを装着していなければ痛みを抑えられなかったという。それでもストポ報道官は、病気を理由に辞職を申し出ることはなかった。

インドネシアでは、去年から大規模自然災害が相次いでいる。2018年7月から頻発したロンボク島地震、同9月にスラウェシ島パルで発生した巨大津波など、その様子は日本のニュース番組でも大きく取り上げられた。

ネット上に拡散される情報を精査し、同時に被災地の現状を分かりやすく解説する。そのようなストポ報道官の活動に、ジョコ・ウィドド大統領も感謝の意を示した。

ストポ報道官のTwitterアカウントは現在も残っているが、最後の投稿に対してネットユーザーから感謝の投稿が続々寄せられている。「#RIPSutopo」というハッシュタグも立っている。

災害発生の度に拡散されるデマ情報に、文字通り命がけで立ち向かったストポ報道官。インドネシア国内外の多くの人がその死を惜しんでいる。

【参考・動画】
Turut Berduka Cita, Sutopo Purwo Nugroho Meninggal Dunia-YouTube
Mengenang Sutopo | Impian Sutopo Terwujud: Bertemu Presiden Jokowi-YouTube