【インドネシア大統領選挙】ユニコーン企業を巡る両候補の「温度差」(第2回)

前回の大統領選特集記事「【インドネシア大統領選挙】「第2ラウンド」に突入した両候補(第1回)」では、争点のひとつである農業問題について触れた。

インドネシアの農業は仲買人が多く、また不当に中間マージンが大きい。この問題解決に対し現職のジョコ・ウィドド氏は、オンラインシステムとそれを運営するスタートアップを突破口のひとつとして考えている。

その背景にあるのは、2010年代に急速に普及したスマートフォンである。

インフラの不備を補うオンラインシステム

Wi-FiとBluetooth、そしてGPS機能を完備したスマートフォンはインフラの不備を補いつつある。

たとえばGo-Jekは、渋滞の隙間を縫うように移動するバイクタクシーをオンライン化することに成功した。どこにでもバイクを呼び出すことができ、また目的地の指定も容易だ。

独自の電子決済システムを導入することにより、小銭不足に悩むこともなくなった。その上、Go-Jekは飲食デリバリーや軽輸送も手掛ける。

農業の分野でも、電子決済を利用したフェアトレードが注目されている。オンラインで一次生産者と小売業者が直接つながれば、仲買人が入り込む隙はなくなる。それにはオンラインプラットフォームを設計・運営できるスタートアップが欠かせない。

2月17日、ジャカルタ市内のホテルで大統領候補討論会が開催された。そこでジョコ氏は、農業とインダストリー4.0の関係性について語った。

一次生産者の進化を左右するのはマーケットプレイスであり、それをいつでも利用できるようオンライン環境を整備する必要があるというのが、ジョコ氏の発言の主旨である。

「ユニコーン」に対する認識

その討論会で、以下のような場面もあった。

ジョコ氏がプラボウォ氏に対して「あなたは国内のユニコーン企業育成のために、どのようなインフラ建設が必要と考えているのか?」と質問した。だがプラボウォ氏は、「”ユニコーン”とはどういう意味か?」と返したのだ。

ユニコーン企業とは、設立10年以内で非上場、なおかつ評価額10億ドル(約1100億円)以上のスタートアップを指す単語だが、プラボウォ氏はこの知識に基づいた答えを出せなかった。

その後、国内のスタートアップをユニコーン企業に成長させる政策をジョコ氏は掲げたが、一方でプラボウォ氏はユニコーン企業による法人税回避の懸念を口にした。この部分で両者の認識の差異が、如実に表れた。

ジョコ氏が目指す「インダストリー4.0」

ジョコ氏が理想とするインダストリー4.0は、ドイツで提唱された発想である。

工業分野の生産をオンライン管理することにより、劇的な効率化を目指すという内容だ。それは結果として製品の少ロット多品種化を実現する。消費者からの要望を即座に反映し、適切な製品を短時間で設計できる効果も含まれている。

農業や漁業でインダストリー4.0の発想を取り入れた場合、先ごろの記事で取り上げたeFisheryのような形にまとまっていく。これは淡水魚の養殖システムで、堀の状態は常時スマホアプリに表示される。

前回の選挙は、Android OSのスマホ普及率はまだ低かったが、今は状況が大きく異なる。スマホアプリを使ったオペレーティングの可能性は、既にGo-JekやTraveloka等のスタートアップが示している。

5年の間に起こった技術革新は、大統領選挙にも大きな影響を与えていると言える。

【参考・動画】
Jokowi tanya Strategi untuk unicorn, begini Jawaban Prabowo-YouTube