Googleドライブで公式声明を発表したジョコ大統領

9月3日、ジョコ・ウィドド大統領はミャンマーのロヒンギャ族難民問題に関する声明を発表した。

これが、大手メディアKompasのテクノロジーセクションで取り上げられた。

なぜテクノロジーセクションなのか? それは、ジョコ大統領はYouTubeよりも先にGoogleドライブで動画を配信したからである。

YouTubeではなくGoogleドライブで「第一報」

Googleドライブはクラウドストレージサービスで、ビジネスに必要な文書や動画を、関係者全員で共有するために用いられる。

ジョコ大統領はそれを、政府の公式声明を発表するために使ったのだ。このような形でのGoogleドライブの利用は、極めて珍しい。

だが、当然ながらこの動画にはアクセスが殺到し、あっという間にキャパシティーを越えてしまった。現在はGoogleドライブからの視聴はできなくなっている。

それにしても、不思議である。Googleドライブの共有URLはジョコ大統領のTwitter公式アカウントで公開されたのだが、YouTubeではいけなかったのか? 現に今は、GoogleドライブのURLが記載されたツイートは削除され、YouTubeにリンクされたツイートが上がっている。

国民は「同僚」

もしかしたら会社の仲間に情報を共有するかのような感覚で、このような形式での配信が行われたのかもしれない。

確かに他媒体での配信とは、その印象がまったく異なる。

「大事な動画だから、とりあえず最初はGoogleドライブに置いとくよ。目を通しておいてね」

同じオフィスの同僚から、メッセンジャーアプリでそう言われてGoogleドライブをチェックした。これはどこのオフィスにもある一場面だが、要するにジョコ大統領もそのような感覚で動画を配信したのではないか。

日本のジャーナリズム業界に「大本営発表」という言葉がある。政治的宣伝の意味合いが強い公式声明を指す言葉だ。上から目線の発表は、国民に対して大本営発表のような印象を与えてしまう可能性がある。

しかし、「データのクラウド共有」という手段を使えば、あたかも大統領と市民は「同じオフィスの同僚」のようになる。

Googleドライブの大衆への浸透

また、この一件は一般市民に対して「Googleドライブというものがある」ということを強く印象づけただろう。

日本でも、クラウドストレージサービスが大衆レベルで広く活用されているかといえば、決してそうとも言い切れない。Googleドライブは極めて簡単な手順でデータを共有できるツールだが、その可能性はまだ充分に見出されていないのではないか。

逆に、もし一市民に至るまでクラウドストレージサービスを使いこなすようになれば、大きな変化が起こるはずだ。

そしてGoogleといえば、数か月前までインドネシア政府と法人税納付の問題で足踏みを強いられていた。しかしそれに関する協議が合意に至ると、Googleインドネシアに関するニュースはポジティブなものが格段に増えた。その中で、此度のロヒンギャ族問題に関する公式声明がGoogleドライブを通じて行われた。

この国のIT業界にとって大きな出来事であるということは、間違いないだろう。

【参考・画像】
Video Jokowi soal Rohingya di Google Drive Kebanjiran Penonton-Kompas
Keterangan Pers Presiden, Istana Merdeka, 3 September 2017-YouTube