オンライン内見を始めました!新規様限定でお得なキャンペーンも実施中! Email us or LINE

昔はよかった? 独裁者スハルトを懐かしむ市民たち

【記事シェア】バクリー氏「ARBノミクス」 大統領選向け秘策 スハルト回帰を切望 (じゃかるた新聞)


・ゴルカル党大統領候補のパクリー氏は支持率回復のため、政治上のスハルト回帰を公言している。
・「警察は銃撃を受けているのに撃ち返すことができない」、「法を執行する者は人権侵害を恐れるべきではない」(バクリー氏)。
・それに対し、人権団体幹部は反発のコメントを出している。


〈参照記事〉

https://www.jakartashimbun.com/free/detail/16744.html

開発独裁型リーダー・スハルト

最近のインドネシアでスハルト時代を懐かしむ声があるのは、上記の記事の通りです。ハジ・ムハンマド・スハルトは、インドネシアに30年以上君臨した開発独裁型の指導者として知られています。

ここで「開発独裁」という言葉についておさらいしましょう。

米ソ冷戦時代、歴史の浅い新興国は自由主義陣営か共産主義陣営のどちらかにつくことで大国の援助を得る必要に迫られました。キューバ、ベトナム、北朝鮮、ラオスなどは、革命や戦争を経て共産主義陣営に入りました。その一方で、アメリカを筆頭とする自由主義陣営の経済力に頼ろうとした国もありました。そのような国では積極的な産業投資と市場経済を進めつつ、政治的には野党の台頭を許さないという体制を取りました。これがいわゆる「開発独裁」です。

フィリピンのマルコス、チリのピノチェト、韓国の朴正煕、台湾の蒋親子などが上記の政治体制を推し進めた執政者です。そしてインドネシアのスハルトもその中に入ります。

開発独裁型の国では、執政者の強権を生かして商業開発を促進することができます。例えば、A市の農地に空港を作るとします。しかし現地の農民は空港建設に反対している。普通の民主主義国家なら、まずは住民との対話と土地接収についての契約を経なければなりません。ですが、開発独裁国家の場合はそんなことは不要です。住民のデモに対しては戦車と機関銃と秘密警察を繰り出し、反対者はみんな逮捕してしまえばいいという姿勢です。

それと同時に自国への投資を予定している外資企業に対しては、まさにVIP待遇で歓迎します。フィリピンのマルコス夫妻はパーティー好きで、外資企業の駐在員を招いた豪華なイベントを毎夜のように開催していました。スハルトも貪欲に外資を受け入れ、それを自らの政治基盤にしていたほどです。

そしてそのような国は短期間で飛躍的な経済成長を遂げますが、決して長続きしないことも事実です。人間、どんなに潔白な性格だろうと批判者がいなければ必ず腐敗します。外資によってもたらされた富や利権はすべて執政者の一族が支配し、その国の市場展開は結果的に不平等な競争になってしまいます。

スハルト政権期は、まさに汚職まみれの時代と言われています。相場の10パーセントのリベートを横領していたティエン夫人は、インドネシア国民に「マダム・ティエン・パーセント」というダジャレ混じりの異名で呼ばれていました。「KKN(汚職・癒着・縁故主義)」の存在が盛んに叫ばれていたのも、ちょうどこの時代です。


独裁者は英雄?


>「博物館、Tシャツ…高まるスハルト人気 インドネシア」(朝日新聞)
朝日新聞はインドネシアで「開発独裁」を推し進めた故スハルト元大統領の人気が高まっている。政権が崩壊してから15年。背景には、最近の治安の悪化や物価の上昇があるようだ。古都ジョクジャカルタ郊外に6月にオープンした「スハルト元帥記念博物館」。約3600平方メートルの敷地に高さ3・5メートルの同氏の銅像や生家跡がある。<中略>東ジャカルタ市職員のスティア・ヌサンタラさん(52)は妻と15歳の息子を連れてきた。「スハルト時代は社会が安定していた。今は失業者が増え、法は機能しないし、汚職も増えた」
〈参照記事〉http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312280258.html


上記の朝日新聞の記事によれば、市民がスハルト時代を懐古する背景には現代社会への不安感・不信感が根底にあるようです。失業率は近年6%前半まで改善していますが、それでも「スハルト時代」に比べると高く感じてしまうのでしょう。

また、バクリー氏はJakartaPost紙のインタビューで「スハルト政権時代と比べて、収入は2倍になったが、生活費は5倍になった。」と述べています。


▲インドネシアの失業率(TradingEconomicsより)



実はこの「独裁者再望論」はインドネシアに限らず、世界中で社会現象となっています。

例えば最近のルーマニアでは、「チャウシェスクの時代はよかった」という意見が国民の間で出ているそうです。数多くの市民を投獄し、貧困に追いやり、なおかつ自分だけは宮殿のような豪邸に住んでいた独裁者を現代人が英雄視する。にわかには信じられないようなことですが、そういえば中国の反日デモでは毛沢東の肖像画があちこちで見受けられました。毛沢東は言うまでもなく、チャウシェスク以上の犠牲者を出した希代の独裁者です。

そもそも独裁者とは、市民の教養レベルに大きな格差がある国に現れやすいという傾向があります。

日本やイギリスといった国の場合、あまりに強権的な政治家は暗殺されるか放伐されるかの運命をたどります。

しかし市民の教養レベルや階級格差、文化の質などに大きなムラがある国は、一人の英雄が政治を主導しなければまとまりがつきません。多民族国家のユーゴスラビアを政治権力でまとめ上げたチトーが、まさにそうでした。そういえば、旧ユーゴ諸国でも最近では「チトー懐古論」があり、当時の旗や写真を収集することがブームになっているとか。

インドネシアでも、スハルトTシャツや関連グッズが売れているそうです。


何はともあれ、インドネシアではかつての独裁者の再来を待望するほどに、「今の社会は不条理だ」と考える市民が少なからずいるということでしょうか。

完全日本語対応
お問い合わせください

お問い合わせフォームへ
(+62) 21-230-2301

営業時間 9:00-18:00 (ジャカルタ時間) 11:00-20:00 (日本時間)
定休日土日祝日 ※対応中につきお電話に出られない場合がございます