ロンボク島出身の陸上男子ゾーリ、東京五輪の100m走での大活躍に期待!

5月、大阪で開催されたセイコーゴールデングランプリ陸上。男子100m走決勝戦は、アメリカのジャスティン・ガトリンが10秒00のタイムで優勝し、日本の桐生祥秀がそれに続く10秒01で2位につけた。

そして、3位の選手はインドネシアのラル・ムハンマド・ゾーリだった。タイムは10秒03。このゾーリは2000年7月1日生まれの18歳と、まだ若い。

ロンボクの貧困家庭出身

1999年3月6日生まれの日本のサニブラウンよりもさらに年下のゾーリは、ロンボク島の出身だ。

ゾーリの生まれた集落は、州都マタラムの北、リゾート地で有名なギリ島の南に位置する。ゾーリの家庭はリゾート地の喧騒とは程遠い、貧困層の一家だ。去年フィンランドで開催されたU20世界陸上選手権にゾーリが出場する際、スパイクを購入する費用を自前で用意できず家族に工面してもらったというエピソードもあるほどだ。

そのU20世界陸上で、ゾーリは見事に金メダルを獲得した。直後、インドネシア政府はゾーリの家族に対し、家の改築を約束した。それまでの彼らの家は、古びた小さな木造家屋だった。

冒頭で触れた今年5月に10秒03のタイムを日本で記録するのは、それから10ヶ月後のことである。

東京五輪でファイナルを目指す

IAAF(国際陸連)の定める東京五輪出場標準記録は、10秒05。

前回リオデジャネイロ五輪の出場標準記録が10秒16だったから、今回はよりシビアな基準に設定されている。しかしゾーリはそれを苦にせず、U20の選手とは思えないタイムを示したのだ。

インドネシアが得意とする五輪種目は、バドミントンとウェイトリフティングだが、来年の東京五輪では、ゾーリの登場により100m走でのファイナル進出の現実性が取り上げられるようになった。

インドネシア都市部に出稼ぎに出ているロンボク島出身者にとって、ゾーリは希望の星でもある。

故郷のロンボク島からジャカルタやスラバヤ、バリ島で働く労働者は決して少なくない。都市部ではなく、パプアの鉱山へ向かう労働者の中にもロンボク出身者は存在する。

彼らにとって、世界の舞台で活躍する貧困層出身の少年ムハンマド・ゾーリは大きな心の支えでもあるのだ。

【参考・動画】
Tangis Haru Bercampur Bangga Keluarga Lalu Zohri, Juara Dunia Lari 100 Meter-YouTube