非常時のインターネット規制に備えて、出来ることとは?!

もしある日突然、SNSやメッセージアプリが一切使えなくなったら?ということを想像したことはあるだろうか。

インドネシアでは5月下旬にSNSやメッセージアプリの利用が一部規制されて、一時的に利用できなくなった。

当局のオンライン規制

インドネシアの選挙管理当局は5月21日、ジョコ・ウィドド氏が大統領選挙に当選したことを発表した。

その後、ジョコ氏の再選を不当とするインドネシア人がジャカルタ市内で大規模デモを起こし、一部が暴徒化したのだ。治安部隊も出動し、死者も発生してしまった。

デモの行われたエリアの企業は日系企業も含めて、自宅勤務や自宅待機とする会社が相次いだ。一方で、デモが沈静化するまでの3日間、通信当局は国内でのSNSやメッセージアプリの利用に制限をかけた。

大規模な通信規制を実施

Facebook、Twitter、Instagram等のSNSや、WhatsApp、Facebookメッセンジャー、LINEといったメッセージアプリ。これらはインドネシアでも非常によく利用されている。

インドネシア情報通信省は、これらのアプリに対して通信制限をかけた。画像や動画の読み込みを遅くするという措置だが、暴動が過激化の兆候を見せると、これらのサービスは一時的にシャットダウンされてしまった。ちょうど一部の暴徒化したデモ隊と機動隊が衝突していた頃合いである。

ジャカルタやバンドゥン、スラバヤ、バリ島デンパサールといった大都市を中心に行われた通信制限で、Twitterでは「#InstagramDown」や「#WhatsAppDown」といったハッシュタグがトレンドに上がったほどだ。

デマに警戒する当局

インドネシア政府がこうした措置を行った理由は、デマ対策である。

1997年に発生したアジア通貨危機は、インドネシアの社会・経済を大きな混乱をもたらした。経済の大混乱の中でデモが頻発し、当時のスハルト大統領は失脚に追い込まれ、暴徒化したデモ隊が華人系の市民を襲撃するということも起きた。

「市民の暴動」はデマによって引き起こされる場合が多い。インドネシアでは地震や津波等の大規模災害の度に根拠のない言説がSNSに登場し、被災地の市民を混乱させている。通信当局は、デマに対して注意を徹底しているのだ。

VPNの話題がトレンドに

今回の通信規制の間、VPN設定が大きな話題になった。

中国などのインターネットに対する規制が厳しい国では、VPNを設定することにより当局からの通信規制を逃れることができる。インドネシアでも、このVPNがSNSでトレンドとして上がったのだ。しかし現地テクノロジーメディアは、「安易なVPN利用は危険」と警鐘を鳴らした。

無料のVPNサービスは、それ自体にマルウェアが仕込まれている可能性やサービス利用のために入力した個人情報が悪用されてしまう恐れもある。

勿論、有料の良いVPNサービスも多く、日系企業からも複数のVPNサービスが出ており、インターネットに対する規制が厳しい国に住む日本人を中心に利用されている。

いずれにしても、今回の通信規制は、オンライン社会の課題を露呈した出来事であった。

インドネシア人にとってもメッセージアプリは社会インフラの一部と言え、プライベートでも仕事でも非常によく利用されている。インドネシア人のソーシャルメディア利用者は1.5億人以上おり、その利用時間は1日に3時間半近くにもなると言われている。もしそれがシャットダウンされたら、生活や仕事に支障が出てしまう。

非常時に備え対策を

今回のような通信規制は今後絶対起こらないとは言えず、社会や経済の緊急な非常時には規制のかかる可能性はゼロではない。

非常時に備えた対策としては、メール等のメッセージアプリに頼らない連絡先を予め必要な人と交換しておくことが挙げられる。今後、もしインドネシアで今回のようなオンライン規制が発生するとしたら、暴動や動乱に起因するものとなるだろう。こういう状況で「メッセージアプリしか連絡手段がない」ということは避けたい。

デマにも注意が必要だ。インドネシア当局がオンライン規制に踏み切った最大の理由はデマ対策である。

ネット上に流れるデマを検証する、インドネシアの高級官僚も存在する。国家防災庁のストポ・プルウォ・ヌグロホ首席報道官は、自身のTwitterアカウントを使って正確な災害情報を配信していることで有名だ。

確実に信用できる情報源は、安全を確保するために必要不可欠なものである。今回のデモを契機に、改めて万が一の非常時に備えた対策を考える必要があるだろう。

【参考・動画】
Kominfo Batasi Sementara Akses Media Sosial-YouTube