NHKでも取り上げられた、バンドゥン発の「キノコ革」スタートアップ

クラウドファンディングは、無名のスタートアップが開発した製品をチェックできる場でもある。今回はクラウドファンディングのKickstarterに出展している、Mycotechというインドネシア企業について取り上げたい。Mycotechは、キノコ革製品を製造している。

NHKでも取り上げられる

インドネシア・西ジャワ州バンドゥンに所在するMycotechは、腕時計、カードウォレット、ノートカバー、建材を製造している。それらはいずれもキノコ革だ。

Kickstarterに出展されているのは腕時計、カードウォレット、ノートカバー。価格は腕時計が125シンガポールドル(約1万300円)、財布が45シンガポールドル(約3700円)、カバー付きのトラベラーズノートが25シンガポールドル(約2000円)と設定されている。

Mycotechの取り組みは去年、NHKのニュース番組『国際報道2018』でも取り上げられた。

キノコの菌床を利用

キノコは寄生菌であり、種類によっては複雑な繊維を構成する。

寄生菌が編み上げた繊維を取り出して加工すれば、弾力性と耐久性を兼ね備えた素材になる。その上、見た目の動物革と大差ない。

菌床と木屑を混ぜた建材は、木よりも耐久性に優れ耐火性も備えている。その上で革のように柔軟な素材としても加工できる

菌床から生産されたキノコ革製品はいずれ土に戻り、キノコの生産はその過程においてCO2をあまり排出しない。動物革の場合は家畜に大量の肥料と水を与えなければならないが、キノコにはそのようなものはいらない。

雇用創出にも一役

Mycotechは、地元農家にふたつの効果をもたらす。ひとつはキノコ農家の収益が増えるというものだ。キノコを作るのに必要な菌床は、その役目を果たした後は廃棄されるが、Mycotechは今まで産業廃棄物として捨てられていたものを買い取っているのだ。

もうひとつの効果は、雇用の創出である。インドネシアの農業従事者は、農閑期にはジャカルタ島の大都市へ出稼ぎに行く場合も多い。しかし地元に他の産業があれば、出稼ぎの必要はなくなる。もともとバンドゥンは皮革産業が盛んな地域であり、鞣し作業を行うための職人の確保にも困らない。

経済の地域間格差はインドネシアを長年悩ませてきた問題だが、先進的なスタートアップの登場が問題解決に向けたヒントを提示している。

【参考・動画】
Mycotech
Kickstarter
NHK News Japan : Mycotech-YouTube