インドネシア現地メーカー開発 セルフィー特化のスマホ「Advan i5C Plus」

Advanという、インドネシアの地場系モバイルメーカーがある。

このAdvanが去年9月に市場投入した『i5C Plus』というスマホが、いろいろな意味ですごい。

OppoやVivoなどの中国勢に押されている印象の地場メーカーだが、それでも創意工夫による新製品の開発が進められているようだ。

フロントカメラに重点を置く

まずは、Advan i5C Plusのスペックを記載しよう。

以下の通りである。
液晶画面サイズ:5インチ 1280×720
CPU:ARM Cortex-A53 1.25Ghzクアッドコア
RAM:2G
ROM:16G+64GB(Micro SD)
OS:Android 7.0
メインカメラ:500万画素
フロントカメラ:800万画素
バッテリー容量:2600mAh

スマホのCPUもオクタコアが当然になってきている中で、i5C Plusのそれはクアッドコア。RAM容量も高くはない。この機種は、典型的なローエンドモデルと言えるだろう。

ただ1ヶ所を除いて。

上のスペックをよく見ていただきたい。背面のメインカメラが500万画素に対して、フロントカメラが800万画素という数字だ。これは決して誤植ではない。メインカメラよりもフロントカメラのほうが性能がいいという、珍しい機種である。

画像加工にも対応

このようなスマホがまったくない、というわけではない。

中国Meituは「フロントカメラがメインカメラ」という戦略を打ち出していて、その目標は女性層の取り込みである。要はセルフィー(自撮り)に特化した製品を開発しているのだ。この会社はもともと、自撮り画像加工アプリの開発で実績を重ねているから、若年女性が何を求めているかを熟知しているのだ。

しかし、Meituのスマホはハイエンド機である。それよりも遥かに値段の安い機種で、フロントカメラのほうが高性能というものはあまりない。

i5C PlusもMeituのスマホと同じく、自撮りを売りにしている。撮影してすぐに画像の加工作業ができるというのが特徴で、肌を白くしたり目を大きくしたりという修正も可能だ。そのために別のアプリをインストールする必要はない、ということである。

写真に対するインドネシア人の感覚は、日本人よりもアメリカ人に近い。タンスの上に自分や家族の写真が並んでいる光景、と表現すればいいか。だからこの国でもInstagramが広く普及している。テレビに出ているスターでInstagramのアカウントを持っていないという人物は少数派だ。

当然、若者の間でもInstagramは「基礎インフラ」にようになっている。

そしてi5C Plusにとっての最大の機能は、顔認証である。

1万円の顔認識機能

i5C Plusのリリースは、先述のように去年9月。AppleがFace ID搭載の新型Phoneを発表したのと、まったく同時期である。

もっとも、Android端末における顔認識機能の歴史は新しいものでは決してない。Android4.0から顔認識機能は実装されていたが、この頃は髪型を変えたら認識されない、写真でロックを解除できる等の問題が発生した。顔を平面的にしか認識できない以上、その実用性はお世辞にも褒められるものではなかった。

i5C Plusの顔認識機能がどこまで優れているのか、それは筆者の手元に実機がないため評価しかねる。だが、119万9000ルピア(約1万円)という実売価格を考慮すれば性能面での努力は見受けられる。

「自撮りに特化したローエンドモデル」という方向性は、果たしてインドネシアで受け入れられるのか? これは決して的外れな戦略ではないと、筆者は考えている。

【参考・動画】
Advan i5C Plus
Advan i5C Plus -Episode 1. Selfie Pemadam Kemarahan-YouTube