生産者の顔が見える農業支援サービス「RegoPantes」

近代化が遅れていると言われている、インドネシアの農業。だが、同国でのスマートフォンの普及がそれを救うかもしれない。

インドネシアの食料自給率は100%ではない。牛肉ですら、政治的に良好な関係とは言えないオーストラリアからの輸入に頼っている状態だ。

そしてインドネシアでは、「農業は低学歴者の仕事」と見なされているという状況もある。

高度人材が不足する農業

農業ほど、学識を必要とする分野は他にないかもしれない。

たとえば、日本の東北地方は「米どころ」である。しかし普通に考えれば、これは不思議なことだ。なぜなら稲は熱帯原産の植物で、寒さに弱いはずである。

これは昭和の初めに並河成資という人物が稲の品種改良を主宰し、その結果として世界初の寒冷地向け栽培種『水稲農林1号』が発明されたからだ。こうしたことは当然、現場にいる人間の学識が高くなければできない。

だがインドネシアでは、農業分野での高度人材が少ない上、そもそも農家自体が貧困に苦しんでいる。これでは新しい農法を研究する余裕もできない。だからこそ現地メディアでは、しばしば「日本の高度な農業」についての記事が配信されるのだ。

期待のスタートアップ『RegoPantes』

しかし近年のスマホ普及は、その状況を変えつつある。

まず、インドネシアの農業は非常に仲買人が多い。これは結局、フェアトレードを阻害する。これを省くために、生産者と消費者を直接つなぐECサービスが次々に立ち上がっている。

以前「高品質の青果を農家から直接配送 インドネシアのEC『SayurBox』」で紹介したSayurBoxもそのひとつだが、今回ご紹介するのは『RegoPantes』というスタートアップである。これは、農作物の種類や品質ごとの最適相場が表示されるのが特徴だ。しかも選択した商品の生産者の個人データまでもが掲載されている。本名、住所、年齢、所属組合、そして在庫量まで。

このRegoPantesは「生産者の透明化」を徹底しているようで、それが消費者に信頼を与えている。誰が作ったのか分からないような野菜は、やはりインドネシアの主婦にとっても不安なのだ。

以下の動画では、インドネシアの農家が仲買人からどのようにして不利を押し付けられているかが、簡単に説明されている。

「顔」が分かる農作物

ところで、国際社会では「ESG投資」というものが活発になっている。

これは「環境と社会とガバナンス」に焦点を当てた投資で、もしその企業が自然環境や人権を無視するような経営を行っていたら、ファンドにその持株を売却されてしまうというものだ。

それを避けるためには、大企業はすべての下請け業者の実態を明確に調査しなければならない。もし末端の生産施設で搾取のようなことが行われていたら、それを理由に巨額の投資が引き揚げられる可能性が出てくる。

つまり「生産者の透明化」は世界的な潮流ということだ。末端農家の尊厳を守るためには、「どこの誰がどのように生産したのか」という事実が明瞭でなければならない。現地スタートアップであるRegoPantesは、それを大企業に先駆けて実行したとも言える。

もっとも、RegoPantesはまだまだその機能が整備され切っていないという面も見受けられる。インドネシアの農家を救済するプラットフォームとして本格活動するには、もう少し時間がかかりそうだ。

【参考・動画】
RegoPantes
Sosialisasi Rego Pantes-YouTube