東京ゲームショウに出展のインドネシア企業 その「可能性」と「課題」

9月21日から24日にかけて、東京ゲームショウが開催された。日本最大級のゲーム関連展示会である。

現在、ゲーム業界では新興企業が乱立するようになり、今や東南アジアからの企業も目立つようになった。

その中には当然、インドネシアのメーカーもある。

インドネシアメーカーが東京ゲームショウに

インドネシアでのスマートフォン普及は、日本にも大きな影響をもたらすだろう。

スマホの流通は、スマホアプリビジネスを成長させるが、その中でも最も大衆の支持を得られやすいカテゴリのひとつがゲームだ。ゲーム会社は誰もが熱中できるようなタイトルをひとつ生み出すことができれば、大きな利益を得られる。

インドネシアではスマホアプリビジネスがひとつの産業として急成長し、ローカルのゲーム会社が大きく成長した。こうしたゲーム会社が海外に目を向ける時、日本はとても重要なマーケットだ。

かつて世界で最も成功した家庭用ゲーム機を開発し、サブカルチャーそのものが市場になっている日本で受け入れられれば、その先にさらに大きな成長が見込める。

クラウドファンディングで資金調達のRPG

「インドネシアでは今、スマホもノートPCも急速に普及しています」

そう語るのは、現地ゲーム企業Semisoftのアウリヤ・ヒダヤティ氏。幕張メッセ内に設けられたブースで、新作RPG『Legrand Legacy』を来場者にPRしていた。

このLegrand Legacyは、クラウドファンディングサイト『Kickstarter』で資金調達キャンペーンを実行していたプロジェクトでもある。目標額4万ポンド(約600万円)を越える出資を集め、ゲーム配信サービス『Steam』でのプレα版公開にこぎつけることができた。

スマホの普及は、インドネシア人に対して「配信サービス」というものの存在を教えてくれた。アプリよりデータ量の多いコンテンツを、ノートPCでダウンロードする。それはもはや特殊なことではなく、世界の誰しもがやっている。だが、その「当たり前」を広く認知させることが市場を切り開くために必須なのだ。

営業戦略に「物足りなさ」が

Legrand Legacyの世界観は、敢えて悪く言えば「使い古された剣と鎧と魔法の話」である。

ここからどうやって、他のRPG作品と差別化していくのか。それはまだ模索の最中だ。だからこそプレα版からの公開を実施している。

ゲームがヒットするパターンをひとつ挙げれば、「キャラを先行させる」というのがある。ゲーム内の登場人物の社会的知名度を上げ、多くのコスプレイヤーにそのキャラの格好をしてもらうまでに成長させるという戦略だ。

だが、Semisoftを含めたインドネシアのメーカーはそうしたことをしている様子がなかった。臨時のコンパニオンは日本でも手配することができる。登場キャラのイメージ戦略をブースで展開するという手も、充分に有効だったはずだ。

そのあたりは、営業上の物足りなさを感じた。

日本語の壁

また、Legrand Legacyが日本でヒットするには「言語ローカライズ」という壁もある。

日本語の文語は複雑だ。表音文字と表意文字を組み合わせている上、敬語というものも存在する。

RPGはテキストがウェイトを占めるジャンルだ。せっかくの世界観を、稚拙な翻訳で破壊してしまう可能性もある。

だがそうした課題があるからこそ、このゲームが「どう進化していくのか」という見方もできるのだ。

「戦い」は始まったばかり

いずれにせよ、Legrand Legacyはまだスタートから数歩だけ進んだ段階である。

筆者が体験した感想を言えば、戦闘フェイズでのゲームバランスは決して悪くない。「コントローラーのいずれかのボタンをタイミングよく押す」というシステムで、それが成功すればより大きなダメージを敵に与えることができる。そのあたりは適度な緊張感を演出していたように思える。

システムに目立った支障は見られないし、素直に「面白い!」と感じた。当面は営業戦略の問題で汗を掻くことになるかもしれないが、これを乗り越えれば、日本で受容される可能性も十分にあるはずだ。

【参考・動画】
Legrand Legacy
Legrand Legacy | Teaser Trailer 2017-YouTube