Appleを苦悩させるインドネシアの「iPhone規制」

iPhoneは、日本では高校生でも持っているほど普及しています。

しかしインドネシアではまた事情が違うようです。中間層にiPhoneを買えるだけの経済力があるかないかという話ではなく、国家がiPhone販売を規制しているから。この国では、ハイエンドクラスのスマートフォン販売に関してかなり厳しい規制があります。

自由に売ることができない!?

インドネシアは民主主義国家。州議会議員も大統領も選挙で決められます。

ですから、たとえば北朝鮮のように国家が秘密警察を送り込んで国民を監視するということはありません。さらに言えば、インドネシアのイスラム教徒が大半ではありますが「宗教上の理由でこれを規制する」ということも表向きはしません。今年のバレンタインデーが州レベルで規制された時も、「あくまで青少年保護が目的であってイスラム教の戒律は関係ない」と言います。

ではiPhoneに関する規制の中身は何かというと、いわゆる外資制限です。

インドネシアでは、海外メーカーのハイエンドモデルに対して「全部品の30%をインドネシアから調達すること」という規制を課しています。平たく言えば、インドネシアに投資しなさいということです。

それを受け、Appleはインドネシアに施設を作ると発表しました。

>Apple、インドネシアに研究開発施設を開設へ、iPhoneの販売を再開(IT Pro)

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/040300994/?rt=nocnt

同施設の運営は2017年4~6月期に始まる見通しという。Appleはこの他にも2つの研究開発センターを同国に開設する計画で、これらの投資総額は4400万ドル(約49億円)に上る。(IT Proの記事より)

新興国とApple製品

こうした規制はインドネシアだけではなく、新興国の間でよく行われています。

これらの国々の政治家にとって、AndroidというOSは非常にありがたいものです。理由は簡単で、スマホ製造という巨大産業を呼んでくれるから。一方で、iOSはApple製品だけのもの。これを祖国に輸入して喜ぶのは販売店と富裕層のみで、地元の製造業にインパクトを与えることはありません。

ですから、「構成部品の3割を地場産にするように」という規制をかけるわけですが、それをしない間はAppleの新製品をリリースすることができません。もっとも、富裕層の人々は海外でSIMフリーのiPhoneを手に入れるようですが。

以下は、インドにおけるAppleの動向を書いた記事です。

>インドでのアップルストア設営、条件付きで許可される見通し(iPhone Mania)

http://iphone-mania.jp/news-120893/

インドネシア政府の思惑は

今後、Appleがインドネシア政府の要求に従うとすれば、地元の製造工場に巨額の投資をすることになるはずです。

iPhoneは「Appleの工場で製造された」というものではなく、そのすべてがAppleに依頼された下請け工場で作られています。インドネシア政府の狙いは、恐らくこのあたりではないでしょうか。端的に言えば、鴻海精密工業のような企業をインドネシア国内で育てたいという思惑です。

ここのところ好調なインドネシア経済ですが、その水面下で非常に興味深いやり取りが繰り広げられているようです。

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